2019年01月08日
主の呼びかけに応える年に
新年あけましておめでとうございます。関東南部は幸い穏やかな年末年始でしたが、強い寒波が列島を覆い、各地は真冬の寒さに包まれました。また熊本やインドネシアでは再び強い地震に見舞われるなど、不安の種は尽きません。西日本豪雨から6か月、北海道地震から4か月…ニュースのアナウンサーが告げる「区切り」に改めて、各地の被災者のご苦労に思いを馳せます。
今年は学園も65周年を迎え、5月には新しい元号となる「節目の年」です。大みそかから元日へと節目を感じて旧年を振り返りながら新年への思いを新たにするように、今年一年は平成の時代を振り返り、新しい時代への希望を語る機会が増えることでしょう。
今上天皇が平成を振り返って「戦争がなかった時代」であったことに安堵されたことが伝えられました。「激動の」という冠詞が用いられた昭和の時代。先の大戦に心を痛められた天皇が国内のみならず海外の戦地に赴いて慰霊の祈りを捧げられたこと、また地震や津波、豪雨などの災害で被災された方々のところに赴き、膝をついて見舞われるお姿に勇気づけられたのは、被災者だけでなく未災者もまた同じでしょう。祈り、寄り添うことは、これほどに人々を温かく包み込んでいきます。
さて、「激動の昭和史」に対して、平成の30年は「激変の平成史」と括られるのかもしれません。私たちの暮らしで当たり前になっているものを振り返るだけでも変化の大きさを感じます。片手で持てる携帯電話の登場から30年弱、ICカードを用いる自動改札が始まって20年弱、SNSによるコミュニケーションが普及して約10年です。これらのツールが手元にある現代は、それまでの暮らしから激変しましたが、今を生きる児童生徒は、前述の変化を変化と感じることなく、すでにあるものとして育ちました。これからやってくる10年20年の間に、世界はどれほど変わっていくでしょうか。AIが活用され、ロボットが人の営みを支える環境はすでに始まっています。
グローバリズムの広がりが皮肉なことにナショナリズムを台頭させ、つながる環境が整っている時代なのに、分断へと向かう世界。私を大切にするあまり、あなたの痛みを増幅してしまう。人は弱いものです。そしてその弱さを露呈するまい、と強さを装うとき、そこにあった喜びは遠のいてしまいます。恐怖による支配は悲しみだけを呼び込み、生み出す光は何もありません。
節目の年だからこそ、これまでの来し方を丁寧に振り返っておきたいと思います。そして、他者に寄り添う心で、今を見つめ直したいと思います。
「互いに愛し合いなさい。これが私の掟である」 (ヨハネ15章12節)
どんな時代であっても変わらない主の呼びかけを心に留め、新しい時代を迎える準備を整えてまいりましょう。