ありがとう、6年生

「秋の長雨」とは言うものの、2週続けての台風と合わせ、行事の秋にこれほど影響したのは何年ぶりでしょうか。被災地域はなお大変でしょう。児童会では、熊本や大分を始め、地震や豪雨で被災した皆様を心に留め、10月期のおにぎり献金を贈ることを決めました。

 冷たい雨が降り続く中、今年も「親睦の集い」では心温まる思いでした。グラウンドから第2体育館への「遊園地」移動、「屋台村」のテントレイアウト変更、「ファミリーツアー」の雨天バージョン準備等々、万全の準備を整えてくださり、素晴らしい一日を過ごせました。ご来場の方々の笑顔は、皆様の長期にわたる丁寧なご準備の賜物です。改めて感謝申し上げます。

 さて、今年の運動会は延期に次ぐ延期で平日開催となったためにご家庭の皆様をお招きできず、申し訳ない思いです。幼稚園や中学高校の日常生活に支障がないよう、観覧を我慢してくださった皆様のご理解とご協力に心から感謝しております。おかげさまで滞りなく終えることができました。

 順調に午前の部を終え、ハロウィンを楽しむ給食をいただいての午後一番の演目、6年生のダンス「メモリーズ2017」でハプニングがありました。軽やかに入場し、1曲目のダンスを終えて群舞に移るその時、聞こえてくるはずの2曲目が聞こえませんでした。

 10秒、20秒、30秒…次の動きへのポーズを崩さずに待ち続ける6年生。じっと見つめる小学生、不具合の原因を懸命に探る放送委員…曲のスタートを信じて待つ6年生がフィールドから1年生の席に向かって小声で「ごめんね、ごめんね」と気遣う6年生の姿があった、と後から聞きました。

 どうやら、グラウンドの放送機材にインストールされた音源ファイルに不具合が生じたようでした。しかし、元の音源は教員室にしかありません。

 万事休すか、と思われたその時、ダンスの先生がマイクを握りました。「6年生、ごめんね。1曲目からお願いします」

 大人だったら文句の一つも言いたくなるような場面で「はい」と声を揃えたグループもあり、感心しました。6年生は定位置に戻り、最初からやり直しです。そしてその間に、ダンスの先生がグラウンドから大階段を駆け上がり、教員室から音源を持って1曲目が終わる前に放送席に戻りました。この運動会で一番激しい運動したのは、この先生かもしれません。2曲目、3曲目と無事にダンスは続けられ、6年生は何事もなかったかのように華麗なフィニッシュを決めました。拍手が鳴りやまなかったのは申すまでもありません。

 起きた出来事を受け入れ、周りの人を気遣い、誰をも責めずに自分の役割を果たし切る。こんな6年生の姿は、下級生ばかりでなく私たち大人にも、歩むべき道を示してくれています。

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