2017年05月01日
聖母のメッセージ
5月は聖母月。爽やかな風が吹き抜け、緑の美しいこの季節こそ聖母マリアにふさわしい、とされています。学校では聖母に祈りを捧げ、霊的花束の形にして月末のマリア祭で奉献します。
今年は、ポルトガルのファティマという小さな村に住む3人の少年少女の前に聖母マリアがご出現されて、今月でちょうど百周年を迎えます。こうした節目は、日々を振り返るきっかけになります。
1917年5月13日、丘の上で羊の世話をしていたルチア、フランシスコ、ヤシンタの三人は、目の前が急に明るくなったことに驚き、羊を避難させようと丘を下りました。すると、3人の目の前に、美しい婦人の姿がありました。婦人は3人に「10月までの毎月13日、同じ時間に同じ場所に来るように、そして、第1次世界大戦が終わるようにロザリオの祈りを唱えなさい」と伝えました。
それから毎月、3人は婦人に会いにでかけ、そのたびにメッセージを受け取ります。「戦争はまもなく終わるでしょう。でも人類が神に逆らうことをやめない限り、もっと大きい不幸が起こるでしょう」。
ルチアの「あなたはどなたですか」という問いに、婦人が答えました。「私はロザリオの聖母です」。
ほどなく、第1次世界大戦は確かに終わりました。しかしその後、さらに大きな戦争の時代に入っていきます。
聖母のメッセージを受け取ってから今日までの100年、人類は何回戦争をしているのでしょう。今も、空爆やミサイルの発射、核実験、空母の派遣…。軍事力を誇示することが、どれほどの悲しみを生み出しているでしょうか。「私が」「我が国が」世界の中心だという主張は、戦争を呼び起こします。
昭和20年、終戦直前の海軍の町、広島・呉を舞台にした「この世界の片隅に」(原作・こうの史代)がアニメ映画となって、今公開されています。(本校卒業生も声の出演をしています)
戦争の空の下、小さないのちに向き合う人々の暮らしが丁寧に描かれています。小さいけれども、かけがえのないいのちを、神さまがやさしく包み込んでくださっている。世界の片隅に生きる小さな者を通して、神さまはいつくしみのメッセージを送ってくださっています。ファティマの聖母も、小さな村の小さな子どもたちの前に現れ、慈愛の眼差しを注いでくださいました。
「神のみ腕の力は
思い上がる者を散らし
小さくされた者を
高く上げ 豊かに満たす」
「マリアの讃歌」の一節です。マリア祭で、5・6年生はこの讃歌を合唱し、お捧げします。この5月は子どもたちとともに、ロザリオの祈りを通して、平和の道具となる自覚を新たにし、聖母のメッセージに応えましょう。