もう6年 まだ6年

 ランチルームには、桃の節句を祝う華やかな八段飾りの見事な雛人形が飾られています。寒暖入り混じるこの季節、春の訪れに心が弾みます。
 先日は公開授業にお越しくださりありがとうございました。子どもたちの成長ぶりをそのままご覧いただけたかと思います。
 それぞれの学年を振り返る年度末を迎えました。過ぎた日々を振り返ることは、未来への希望を見出す力強いきっかけとなっていきます。

 「あの日」から6年。以来、日本の3月は「いのち」に向き合い、絆を確かめる節目となっています。しかし小学生の半分はもう、東京ですら大き
く揺れて大混乱に陥ったことを実感として持てない世代です。もう6年、でも被災者にすれば「まだ6年」です。
東北の被災地では、いまだに仮設住宅での暮らしを続けざるを得ない地域が数多くあります。福島では、原発事故から自主避難を選択された方々
への住宅支援がまもなく打ち切られ、関西では、22年前の阪神淡路大震災の被災者に提供された復興住宅からの退去勧告が出されるなど、行き場
を見いだせない方々がいます。

 中東に目を転じれば、過激派テロを抑えるための空爆で故郷を追われた人々が難民となって、今も冬空の下で凍えています。
 各方面からの緊急募金が呼びかけられている中で、2月のおにぎり献金には今回も多くのご協力をいただきました。献金とともに温かいメッセージを添えてくださったご家庭も多くあり、改めて感謝申し上げます。カリタスジャパンやUNHCRを通して早速に送ることに致しました。児童会も、今年度の「3・11 祈りの集い」に向けて熱心に準備を進めてくれています。

 さて、今年は3月1日が教会のカレンダーでの「灰の水曜日」。土から出て土に帰っていく私たちが罪深い日々を謙虚に振り返り、主イエスの受難と復活に希望を見出します。この日からの40日間は「四旬節」と呼ばれ、主イエスが「霊に導かれて」荒れ野に身を置き、断食をして祈った日々を思い起こします。この期間に、私たちの心がどこに向かっているのかを自らに問いかけ、祈りと節制を通して、自己中心ではなく神さまに心を向け直します。

 6年前の灰の水曜日、仙台は震度5の強い地震に見舞われました。その翌々日に大震災が東日本を襲います。穏やかな風景から一変、荒れ野となった沿岸部に呆然とし、断食同然の暮らしを余儀なくされながらも、国内外からのボランティアなど「ともに歩む存在」を感じればこそ、明日への希望を見失わずにいられたのでしょう。

 この一年間、ご家庭のお力添えに感謝しております。子どもたちとともに振り返り、祈りのうちに、希望を持って四旬節を過ごせますように。

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