届いています

学園の周縁に彼岸花が咲き始め、中庭の金木犀が芳香を放つようになって、秋の訪れを感じるようになりました。

爽やかな空気の今と比べて、9月はなんと雨の多かったことでしょう。台風の暴風雨は各地に大きな爪痕を残しました。熊本地震での大きな被害と同様に、岩手や北海道では道路の路盤が崩れ落ち、橋が流されるなど、寸断され孤立している地域がいくつもできてしまいました。しかし、被災からまだ1か月も経っていないというのに、その様子を伝える報道はまるで「台風一過」、今では殆ど届かなくなりました。せめても私たちの祈りと思いを被災地にお届けしましょう。今期のおにぎり献金は10月27日を予定しています。 

さて、学園祭には多くの皆様にお越しいただき、おかげさまで滞りなく終わりました。心より感謝申し上げます。皆様の温かい拍手と子どもたちの歌声は余韻となって今も響いています。

その余韻も冷めやらぬうちに運動会の練習が始まり、特別時間割だけでなく昼休みを利用してのリレー練習には選手以外の子どもも集まって、早くも声援を送ってくれています。その姿にリオのオリンピックでの、ある場面を思い出しました。

400メートルリレーでメダルを獲得した日本チーム。走る順序も考え抜いたそうですが、何よりバトンの受け渡し練習に多くの時間を割いたそうです。前走者は次走者にバトンを届ける時に失速しないように、また受け取る走者も前走者の速度に合うだけの加速をし、振り向くことなく受け取る。この位置の調整はセンチメートル単位だったと知り、その一瞬の難しさを思うと身震いします。受け取る走者が、届けてくれる仲間を心から信頼していたからこそ、あの美技につながりました。

きっと届けてくれる。その信頼は、練習の積み重ねで培われるのでしょう。それはオリンピック選手ばかりではありません。学園祭を思い返せば、劇で、ダンスで、合唱で、またクラブ活動で、ともに繰り返し練習した仲間たちを信頼し大切にして心を向ければ、自分の力が思った以上に発揮できると子どもたちは感じたようでした。その喜びを、全校合唱をはじめ、あらゆる場面で、私たちに届けてくれました。運動会でもきっと、競技やダンス、係活動の場面で、生き生きとしたいのちの輝きを届けてくれることでしょう。

神様はいつも、今この時も、私たちをいつくしみの心で包み込み、愛を届けてくださっている。すべてのいのちを心にかけてくださっている。だからこそ人間は思い上がらず、謙虚に地球を大切にしましょう、と教皇フランシスコが回勅「ラウダート・シ」にまとめ、世界に呼びかけられました。

神様はすでに届けてくださっています。信頼して心を向け、神様の「届け物」を受け取ることができますように。

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