2016年07月05日
良い土となって
梅雨空が続くこの季節、空の重苦しさを押しのけて、鮮やかに咲き誇る紫陽花の色合いに心が癒されます。
小学生が使っている畑には、6年生が植えたジャガイモ、5年生の大豆、4年生のきゅうり、3年生に至っては茄子・トマト・おくら・とうもろこしなどが着々と育ち、まもなく収穫の時期を迎えます。はじめは小さな小さな種でしたが、寒い時期に丹念に耕され、肥料を与えられた土が、それぞれのいのちを大切に育んでくれています。1年生も鉢植えの朝顔を丁寧に育て、じっくり観察しています。土があり水があり、陽が差して、いのちが輝きだす様子に、神さまのお造りくださった世界の多様性と美しさに息を呑みます。
朝、校舎の周りを掃いているとき、レンガの隙間から顔を出している杉の芽が気になって、そっと抜いてみました。地表に顔を出しているのは2ミリ程度、しかし根は3センチほどの長さに伸びていました。一つ一つの存在は小さく見えて、でも育ちやすい条件のもとではしっかりと力強く根を張っていることに驚きました。
さて、早いもので、もう2016年の折り返しです。1学期の終わりを前にして、学校では学習のまとめに入りました。子どもたちは、どのように夏休みを過ごそうかと思案を巡らせているかもしれませんね。
この夏、子どもたちには大自然の素晴らしさを見聞きし、触れる体験をしてほしいと思います。私たちは一人では生きておらず、お互いの関わりの中で生き、生かされています。それは人と人との関わりだけでなく、私たちのいのちは神のお造りになったすべてのものとの関わりの中にあり、神と人との関わりの中にあります。ドミニコは、神を賛美することを忘れませんでした。
福音書の中に、次のようなたとえ話が載っています。(ルカ8章4節~)
種をまく人が種まきに出ていった。まくときに、ある種は道端に落ち、鳥がそれをついばんでしまった。ある種は岩の上に落ち、枯れてしまった。ある種はいばらの中に落ち、いばらに覆われてしまった。ある種は良い土に落ちた。そして生え育って、百倍の実を結んだ。 (要約しました)
生きたい、伸びたい、という力に満ち溢れる子どもたち。その存在の素晴らしさに目を向けるとき、私たち大人が「良い土」となって、小さな存在の根が伸びて100倍の実を結ぶことができるように努めているかを振り返っておきたいと思います。
神が造られたいのちの輝きは、山の上でも海辺でも、大自然のそこかしこに見られることでしょう。街の喧騒を離れ、忙しい日常から敢えて距離を置き、家族とともに大自然に身を置いて過ごす静かなひととき。神からの語りかけが聞こえてくるかもしれません。どうぞよい夏休みをお過ごしください。