聖人列伝 -ドミニコ会の聖人・福者のご紹介-

マリア・マグダレナ(マグダラのマリア)

 最初にお断りしますが、マリア・マグダレナはドミニコ会員ではありません。彼女はキリストと同時代の人であり、ドミニコ会は十三世紀に誕生しました。しかし、ドミニコ会は彼女を会の保護者として立て、彼女の保護を仰いでいるので、ここにご紹介いたします。

 「マグダラ」は地名です。「マリア」という名は非常に多かったので、区別するために地名を添えたり、「誰それの母」というような形で用いられました。
 マリア・マグダレナはルカ福音書の二章によればイエスに癒していただいた女性ですが、それ以来、数名の婦人たちと一緒にイエスとその弟子たちのグループに愛を込めて奉仕していました。イエスが十字架にかけられたとき、他の弟子たちは、イエスの側近であった十二使徒も含めて皆逃げてしまいましたが、彼女はイエスの母マリア、使徒のヨハネ及び数人の婦人たちと一緒に十字架の下に留まりました。復活の朝、イエスは彼女に現れ、復活を使徒たちに告げに行くようにと彼女をお遣わしになりました。もう少し詳しくお知りになりたいかたは、マルコ福音書十六章、ヨハネ福音書二十章をご覧ください。
 彼女に対する尊敬は、特に十一世紀以降、西方教会で高まりました。「使徒たちへの使徒」として、ドミニコ会では彼女を会の保護者としています。「主の復活を告げに行く」という使命は、まさに自分たちの使命そのものであると感じ、最初にこの使命をイエスから受け、果たしたマリア・マグダレナの守護を願ったのです。
 キリストがもたらした福音は、多くの場合、世の常識に逆らうものです。人々にばかにされるものでもあります。しかし、ドミニコの家族である私たちは、マリア・マグダレナに倣い、自分たちの認識の限界を常に広げて、神の福音に触れ、これを人々に伝える使徒でありたいものです。

 聖マリア・マグダレナ、わたしたちのために祈り、神にとりなしてください。

文/理事長 武田教子